型破りなアイロンがけ

何をやるにも基礎が大事だとは良く言われる。高校時代、物理学の先生は「基礎が大事だ。型をまず知れ。型をマスターしてからでないと型破りなんてできないんだ」とよくおっしゃっていたように思う。調べてみるとこれは歌舞伎役者の中村勘三郎の言葉のようだ。

型をしっかり覚えた後に「型破り」になれる。 ー 18代目 中村 勘三郎

産まれてくる子供に、どうやって型を教えるべきか。何を型として伝えるべきか。学問的なことは小学校・中学校の義務教育で一通り学ぶのであろうが、例えば「アイロンがけ」なんていうのはどうやって学ばせよう。

僕が自分でアイロンを使ってシャツのシワを伸ばし始めたのは大学院に入って就活をし始めてからかもしれない。それまでも、例えば大学1年生のときの部活の総会の時など、スーツを着る機会はもちろんあって、そのときにシャツのシワを伸ばす必要はもちろんあった。そのときに自分がとっていたのは「きれいに畳んだシャツを枕の下に忍ばせて一晩寝る」だ。こうやればシャツのシワは伸びると思っていた。確かに少しは伸びていたんだと思う。それにしたってシワシワのはずで、周りからはあいつシワシワのシャツ着ているなと思われていたに違いない。恥ずかしい限りだ、、、

なんで枕下にシャツを入れていたのかというと、母がそれをやっているのを見ていたからだ。おそらく母はためしてガッテン的な番組で「お手軽シワ伸ばし術」的なライフハックを学んだのだろう。こうやるとシワが伸びるんだよと直接言われたか言われてないかは定かでないが、とにかくそんな母の姿を僕は見ていた。僕が一人暮らししてシャツのシワを伸ばす必要が出てきた際に「アイロンを買う」という選択肢は頭に思い浮かばず、枕下に忍ばす、という行動をとったのだろう。

今はというと、出勤時に着るワイシャツは、洗濯後にアイロンがけを行ってからハンガーにかけてクローゼットにしまっている。アイロンがけは楽しい。シワがすぐに伸びるからだ。

アイロンがけはシワ伸ばしにおける「型」だと思う。アイロンを持っていなければ買わないといけないし、素早くきれいにシワを伸ばすためにはちょっとしたコツのようなものもいるだろう。が、慣れると間違いなくきれいにシワを伸ばせるようになる。枕下にしのばすというのは些か「型破り」な行為だ。僕の子供には、アイロンをかけてシャツのシワを伸ばす姿をきっちり見せなければ。

そんなことを考えながらDJの練習に励む1月3日であった。


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