サラダは最初に食べたい

レストランでサラダを頼むと大抵一番はじめに持ってきてくれる。これって何故なのだろうか。「サラダファーストで食べると太りにくい」という説のせいだろうか。

学生時代、刺身がメインの和食屋さんでバイトしていた際に、ご高齢のおじさまと若い女性(父と娘だろうか、役員と愛人だろうか)が来店され、初めに刺身や煮物や天ぷらやサラダなんかを頼まれた。その店では初めに付き出しを出してから次に刺身を食べてもらう。その後は厨房の関係で出せるつまみから出していく。刺身の後、煮物ができたので持っていくとそのおじさまから「サラダは?」と問われた。すみません、順番にお作りしておりますから、と待たせたのだが、次に天ぷらを持って行った際に、とうとうおじさまに怒られた。

「いいか、サラダは初めに持ってくるものと決まっているんだよ」

お叱りを受けたのでその場では一旦平謝りし、結局サラダはキャンセルとなったのだが、このやり取りのことはモヤモヤした記憶としてずっと頭に残っている。


ここは刺身を出す和食屋だ。日本に長く伝わる和食の中には「サラダ」という文化はない。欧米から輸入された概念だろう。そうであるならば何故僕はおじさまから「サラダは初めに持ってくるのが常識だ」的な怒られ方をしたのだろうか。それは勝手におじさまがおじさまの中で考えるマナーではないか。ゆっくり日本酒を飲んでもらいたいうちの店にサラダファーストなんてものを押し付けないでほしい。

特に僕が働いていた店では、サラダも作り置きでなく、注文が入ってから玉ねぎを切ってレタスをちぎってトマトを切ってドレッシングをかけていた。大将が刺身を切る片手間に作っていたので、刺身の注文が重なっている時はどうしてもサラダが後回しになってしまう。ランチセットのサラダじゃないんだから、バイトが冷蔵庫から取り出すだけ、ではなかったのだ。


ちなみに、サラダファーストは現在の学説では否定されていて、むしろプロテインファースト(タンパク質を初めに食べる)、またはカーボラスト(糖質は最後に食べる)が良かろうということになっているそうだ。

サラダの食物繊維をはじめにとることで血糖値の急上昇を抑えられる、というのがサラダファーストの根拠だった。サラダばっかりでお腹いっぱいになるなら良いが、そうでなければ初めに食べるべきはタンパク質なのだ。先に満腹中枢を刺激してやることで、食べる総量を減らすことができる。サラダ食べたって食った気にならないからね。

それよりも原則は“糖質をはじめにとらないこと”だ。フォーカスされるべきはサラダではなく糖質のほうだ。

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