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本書は、WIRED UKの創刊編集長であるデイビッド・ローワンが、様々な国の様々なイノベーター達と会話し、彼らがどのようにイノベーションを起こすことができたのか、あるいはビジネスとして成功することができたのか、16パートにまたがってまとめられたものである。
本屋で見かけた際、なんだか面白そうな本があるなあと何となく思っていた本だったが、執務室のグループ用の本棚の中にこの本があったのを見つけたため、家に持って返って読んでみることにした。グループの誰かが経費で買ったものだろう。本来なら持って帰るのに誰かに一言必要だったのだろうが、持って返ってきて2〜3ヶ月誰も何も言わないし、ちょうどコロナ禍で読書を進めたい時期だったので、罪悪感は特にない。日記に内容をまとめたら、また執務室に返せば良いだけだ。それでまた別の本を持ってくるようにしよう。
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内容についてだが、まず、副題である“「真のイノベーション」に共通していた16の行動”というのが、この本最大のミスリーディングがある。「イノベーションを定式化することなんてできない、イノベーションを科学するなんてふざけるな」というのが筆者の執筆のモチベーションになっていることは明らかだ。このことは原題の『Non-Bullshit Innovation』という表現からも分かるだろう。もっとも、最終章には「イノベーションに成功する企業13の共通点」が次のようにまとめられているが。
- 自ら判断して動く少人数チームを社内に組織し、顧客ニーズを発見し対応する権限を与えている
- 世界レベルの才能を採用し、動機づけ、つなぎとめる能力こそ最大の資産であると理解している
- 好奇心を保ち、外の世界を観察し、問いを持って学び、自己満足に陥らないよう自戒している
- 仮定に基づいて検証し、フィードバックを吸収し、あらゆるステップで繰り返すことを厭わない
- 会社のゴールより顧客のニーズを優先する
- 新市場の動向を理解し、今のビジネスモデルや製品の先にあるものを発見しようとしている
- 階層構造や官僚的思考からの脱却を目指し、意思決定を速め、リスクを取ることを恐れない
- 大胆な行動に出て失敗しても、意味のある学びがあれば、それを次に活かすことでよしとする
- 短期的な結果を求める圧力からチームを守る構造になっている
- 「イノベーション」を特定の個人やチームの責任と見なさない
- 分野の壁を乗り越える協働と、異なる文化を融合するハイブリッド思考ができる
- 社員が会社の目的に共感し、価値観を共有している
- 社内が起業家精神を発揮することを奨励し、それに報いる仕組みがある
あと、この本はフォントがちぐはぐで読みにくい。こっちでは明朝体、こっちではゴシック体とまるで統一感がなく、慣れるまではイライラした。どうしてこんなことするんだろう。あえてやっているんだろうか。それとも僕が知らないだけで、フォントをバラバラにするのが流行りなのだろうか。
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PART 1. 隠れたニーズを満たせ
ペルーの「イノーバ・スクール」はIDEOが手掛けた学校だ。IDEOが手掛けただけあって、デザイン思考によって教育システムそのものが再構築されている。この学校を所有しているのはペルーのコングロマリットであるIntercorpという企業だ。Intercorpは『このままでは、自社の製品やサービスを買ってくれる中産階級の顧客層が形成されないばかりか、会社の成長に必要な人材も確保できない。政府がやってくれないのなら、自分たちでペルーに必要な教育システムをつくろう』という考えから、学校チェーンの経営を始めたのだという。影響力のある企業が本気で顧客のためになることをビジネスとすれば、大きな事ができるようになる。Intercorpの場合、“教育”によって国と国民を大きく前進させることができたのだった。
デザイン思考よろしく、ワッツアップもドロップボックスも徹底したユーザー志向によってビジネスとしてのブレークスルーを果たした。明確なミッション(Intercorpの場合はペルーを南米最高の国にすること、ワッツアップの場合はとにかくシンプルなメッセージアプリを開発すること)を掲げ、顧客のニーズを察知し、それを満たすことで、イノベーションを実践できるのだ。
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と、こんな感じで、明日からもPART 2. 以降をまとめていくようにする。明日・明後日で全部まとめられると良いなあ。
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